2012年4月8日日曜日

私のジャズ(66)

ご当地ソング
松澤 龍一

水森かおり「歌謡紀行Ⅷ」(TKCA-73460)












歌謡曲にはご当地ソングが多い。「小樽の人よ」、「恋の町札幌」、「札幌ふたりづれ」、「釧路の夜」、「小樽運河」、「札幌東京」、「網走番外地」、サブちゃんの ♪はあ~るばる 来たぜ はっこだて~♪ と、とりあえず頭にあるものを北からあげていっただけでも、これだけすらすらと出てくる。本格的に調べればこの数十倍はあるだろう。どんな地方都市でも、ご当地ソングの一つや二つはありそうだ。

我が町、野田(千葉県野田市)にも「野田みれん」という立派なご当地演歌がある。唄っているのは三田翔也。私のレパートリーの一つでもある。水森かおりとか水田竜子のようにご当地ソングを得意としている歌手もいる。お二人とも私の大のお気に入り。

アメリカにもご当地ソングはある。思いつくままに挙げてみよう。先ず、有名な I Left My Heart In San Francisco 、東部へ飛んで、Autumn In New York  中部に行くと、ずばり、Chikago 、南へ下ると、St. Louis Blues, Tennessee Waltz, Georgia On My Mind, Stars Fall In Alabama ...... ジーン・ピット二―のルイジアナ・ママなんていう歌もあった。日本に比べると、ちょっと少ない気がする。

でも、強力なご当地ソングが一つある。「Route 66」 という曲だ。「Route 66」で歌われているルート66はアメリカの道路の名前で、イリノイ州シカゴとカルフォルニア州サンタモニカを結びアメリカの南西部の発展を促した重要な国道であった。1985年に州間高速道路の発達によりその役目を終え、廃線となったとのこと。Bobby Troup という人がこのルート66を歌にした。

多くの歌手に唄われヒットした曲である。この曲にはルート66の沿線の10以上の町が歌い込まれている。強力、かつ広域ご当地ソングである。ナット・キング・コールの歌が有名だが、ここは作曲者本人の歌で聴いてみよう。



素敵なフレーズが歌われている。Get Your Kicks On Route 66  ネイティブの英語の使い手でないと中々書けない歌詞である。日本人にはまず無理だろう。「ルート66をぶっ飛ばしていると、お前にビビッとくるぜ」との意味だろうか。そう言えば、コール・ポーターに I Get A Kick Out Of You がある。これも洒落ている。