2012年4月29日日曜日

尾鷲歳時記(66)

僕の宝物
内山思考

春雨や熱源として男女あり 思考

石と眼鏡のある風景













「なんでも鑑定団」というテレビ番組があり、結構視聴率を稼いでいる。ご存知ない方もおられようから説明すると、視聴者が持ち込んだ珍しい品物や古美術、骨董品を、専門家が鑑定して値段をつけるという公開放送である。この番組はあまり表に出ることの無かった骨董の世界をお茶の間に引き寄せた点で画期的だと言えよう。

古美術鑑定界の重鎮、中島誠之助氏の名を全国的にしたのもこの番組だ。もう一つ、司会の島田紳助氏の功績も大きい、彼の一見毒のあるトークは絶妙で、好き勝手に喋っているように見えて実は、画面の中と外の客の気を逸らさない気配りがされていた。不祥事で業界を去ったことについては擁護しないが、非凡な才の持ち主であったのは間違いない。僕は彼が居なくなってから「鑑定団」を見なくなった。

個人的には骨董品などに手を出す余裕は無いけれど、僕は昔から古い物に興味は持っていて、例えば子供の頃、実家の牛小屋の二階で小判を見つけたことがあった。ガラクタの入った木箱を引っ掻き回していたら一枚出てきたのである。僕は大いに興奮して父に報告した。すると「お前にやるよ」とこともなげに言うではないか。休み明けに学校で見せびらかしていたら、先生が来て見せてみろという、小判を手に取った先生は一瞥するなり「真鍮やな」と言って返して寄越した。何の事はない古い玩具だったのだ。

骨董とは言えないが、僕には大事にしている小石がある。これも小学生時代、川原で見つけたものでキレイな縞模様が気に入って大事にしていたがやがてどこかに紛失してしまい、その後すっかり忘れていたらなんと数年前、家の近くの山道で偶然再会したのである。以後、常に机上に置いてあるが無用にして存在感のある石だ。他に野原で拾ってきた玉子大の石もあり、それは文鎮として重宝している。
和田悟朗さんの顔が
3Dになったキーホルダー

クリスタルの中に和田悟朗さんの顔が3Dで浮かんでいるキーホルダーも持っていて、これなども僕に取っては大切なものだ。自分の宝物の価値は自分自身が一番よく知っているというのが今回のオチ。