2012年4月22日日曜日

私のジャズ(68)

フランク・ストロージャー
松澤 龍一

 "Fantastic" FRANK STROZIER
(VEEJAY STEREO SR 3005)












フランク・ストロージャー、聞きなれない名前である。よっぽどジャズを聴きこんでいなければ、彼の名前を知ることはないだろう。いわゆるハード・バップ時代の白人のアルト・サックス奏者である。ジャケットの写真を見ると、一昔前のハーバードかエールの大学生のようで、およそジャズ・プレ―ヤにはほど遠い容貌、いでたちである。実は私も知らなかった。何気なく手にしたこのレコード、なぜこれが手元にあるか分からかった。

サイドメンを見て納得した。ドラムス、ジミー・コブ、ベースはポール・チェンバース、ピアノはウィントン・ケリーのハード・バップ時代のオール・スターキャストでトランペットはあの夭折の天才、ブッカ―・リトルが共演している。

ブッカ―・リトルは23歳で死んでいる。同じ夭折であってもクリフォード・ブラウンやリー・モーガンより若く死んだことになる。クリフォード・ブラウンやリー・モーガンは事故死だが、ブッカ―・リトルは尿毒症が原因だった。これだけ若く死んだため、残されたレコードも多くはない。

彼がプレーヤーとして開眼したのは、なんと言ってもエリック・ドルフィーと共演したファイブ・スポットのライブにあると思う。この時のライブは3枚のレコードに残されている。1961年の7月の録音である。この年の10月に永遠に帰らぬ人となっている。正に死の直前に開花したのである。ジャズが最も熱く、濃く、スリリングな時代でもあった。