2012年5月6日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(70)

古川流域/三田寺町(その3)
文:山尾かづひろ 

魚籃寺山門

















都区次(とくじ): そろそろ、お昼にしませんか?
江戸璃(えどり): それでは桜田通りをまっすぐ行って、店屋の多い魚籃坂下でお昼にしましょう。魚籃坂下はむかしから賑やかで、都電が走っていたころは品川駅を起点とした7系統は泉岳寺、魚籃坂下、古川橋、天現寺橋、霞町、権田原を経て、四谷三丁目が終点となっていてね。殊にこの魚籃坂下では、五反田からの4系統、目黒からの5系統が交差していたのよ。坂の上がり口にある大信寺に寄るわよ。このお寺には日本における三味線製作の始祖とされる石村近江累代の墓があるのよ。さらに魚籃坂を上っていくわよ。
都区次: 赤い山門がありますね。
江戸璃: これが魚籃観音を安置してある魚籃寺よ。お昼を食べたら拝んでいきましょう。












観音のおん手に魚籃夕薄暑  長屋璃子(ながやるりこ)
山門の丹(に)を潜りゆく白日傘  山尾かづひろ