2012年7月29日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(82)

愛宕山の周辺(その4)愛宕のトンネル
文:山尾かづひろ 

愛宕のトンネル









区次(とくじ):栄閑院猿寺のつぎは愛宕神社へ行きましょう。
江戸璃(えどり): この国道1号の桜田通り側からだと、まず愛宕のトンネルをくぐるわよ。
都区次: こんな都会の真ん中にトンネルがあるとは驚きですね。それにしても、この愛宕山は標高25.7メートルで、ぽつんと、この辺にだけあって、人工の山のようですね。
江戸璃: 確かに明治になって愛宕山は人工の山ではないか、という疑問があったのね。愛宕のトンネル(正式には「愛宕隧道(あたごずいどう)」)は交通の利便性を考えて昭和5年に愛宕山を掘って開通させたのだけれど、そのときにまったく地層が見られなかったので、江戸城の濠を掘った土を積み上げたのだという憶測が出たのよ。その後、山上に放送博物館の建設でボーリング調査をしたら、ちゃんと富士の火山灰がつもって出来た関東ローム層とわかり、正式に自然の山だということになったそうよ。


トンネルの向かうとこちら日の盛り 畑中あや子


都区次: トンネルをぬけて愛宕下通り側に出ると、山上へ行くエレベーターがありますね。これは便利ですね。
江戸璃: 何を言っているのよ。こういう場所は男坂を上らないと御利益がないのよ。頑張ってちょうだいね。



男坂の階段












日盛りを女の意地の男坂 長屋璃子(ながやるりこ)
急磴の八十六段蟬時雨 山尾かづひろ