2013年3月3日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(113)

山手線・日暮里(その12)
根岸(上根岸88番地の家⑤)
文:山尾かづひろ 


帝国議会議事堂(明治23年)









都区次(とくじ):子規は東大在学中、新聞『日本』に顔を出し、編集長・古島一雄の指示で時事をよみ込んだ俳句を作ったということでした。どんな作品だったのですか?
江戸璃(えどり):子規のその記事が載ったのは明治25年11月28日でね。前書をつけた俳句時事評なのよ。

「政府と議会と衝突すれば議会は和衷協同の語を藉(か)りて勉めて之を避けんとす
  鞭(むち)あげて入日招くや猿まはし
政府再び衝き戻せば議会三たび衝きつけて敵の強弱を試みんとす綱引きややゝしばらくは声もなし此の後の処置果して如何此間の方略果して如何
  其箱のうちのぞかせよ傀儡師(かいらいし)」

というものね。それ以後、いろいろな形式を工夫して断続的に掲載したわけよ。
  
  
  師の家は隣にあって雛飾る 佐藤照美

都区次:ところで今日は雛祭ですが、子規の雛祭の句にはどんなものがありますか?
江戸璃:雛祭関係は101句あるけれど

 昼過ぎや隣の雛を見にゆかん
 めでたしや娘ばかりの雛の宿
 二番目の娘みめよし雛祭

などは新聞『日本』の社長・陸羯南の家の雛祭を詠んだものと思うわよ。1男7女というから立派な雛だったのでしょうね。
浅草の流し雛










雛人形あまた遺して女系絶ゆ 長屋璃子(ながやるりこ)
紙雛目鼻のなきに惹かれけり 山尾かづひろ