2013年10月20日日曜日

尾鷲歳時記(143)

ジュンク堂とウララ
内山思考

秋の山互いに仕事輝かせ  思考 

四十年以上乗っているS子さんの
愛車カリーナ・左ハンドル









那覇の国際通り近くにあるジュンク堂はとてつもなく大きなブックストアである。在庫120万冊と案内パンフに書いてあったから「本屋さん」という呼び方は何だか似合わないような気がする。最初、沖縄に来た際は近くのホテルを利用していたので、夕食の後に必ず立ち寄って眼福アンド獺祭書欲?を満喫していたのだが、少し離れたアパート住まいになってからは夫婦一緒に車で行動するようになり、気軽に立ち寄れなくなってしまった。妻はイラチだから待たされるのが嫌いなのだ。こちらも待たせていると思うと落ち着かないし。でも、尾鷲に帰る前日、買い物がしたいというので、一時間ほど別行動することにした。

僕は真っ直ぐジュンク堂を目指し、二階の沖縄関連本のコーナーへ向かった。コーナーといっても戦争、基地問題、教育、島々の文化、芸能、民俗など分野が多岐に渡っていて普通の町の書店ぐらいの広さがある。本当はじっくり腰を据えて気に入ったものを吟味したいのだが、本屋で過ごす時間は浦島太郎並みに早く過ぎる。僕は「嘉手苅林昌」のCD(も売っている)と「山之口貘沖縄随筆集」を買って表へ出た。実はもう一軒立ち寄りたいところがあるのだ。

それは「市場の古本屋ウララ」である。何でも、ジュンク堂那覇店の元書店員の女性が、二年ほど前、牧志公設市場の向かいの小さなスペースで古本屋を始め話題になっているらしい。その店主の名は宇田智子さんといい、エッセイを書いたりもしているようだ。国際通りを横切ってアーケードをしばらく行くとその店はあった。
名高い霊地
斎場御嶽(セーファウタキ)
確かに狭い。周りの店の色彩に溶け込んでいて通り過ぎてしまいそうになったぐらいだ。ショートヘアの若い女性が開店の準備をしている。「見せて貰ってもいいですか?」と問うと「そちらの方なら…」本を整理しながら彼女(宇田さん)が左側の棚を手で示した。僕は細長い空間に横に身を入れ、一番上の列を見上げようとして後頭部を壁にぶつけた。「イテッ」