2013年11月24日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(151)

山手線・日暮里(その51)
根岸(上根岸82番地の家(35)「子規庵」)
文:山尾かづひろ 

開成中学










都区次(とくじ):西日暮里には東大合格者数で有名な開成中学があるのですね。

曾遊の地の師を真似てみしお茶の花 畑中あや子

江戸璃(えどり):その開成中学に戦前通っていた大矢白星師という俳壇を遠く離れて独特な吟行形態を貫いている伝統系の宗匠が「谷根千」をよく御存知でね、私は二十年ほど前に浄光寺に連れて来てもらったのね。この寺は空無上人が元禄4年に納めた銅製地蔵尊が有名なのだけれど、寺の門前には八代将軍吉宗が鷹狩りの際立ち寄ったと書かれてあってね、その際の休息の腰掛石もあるとされているので、墓地を通ってその腰掛石のある庭に入ったら、そこには三代将軍御腰掛石とあってね、矛盾を感じるわよね。白星師が住職に問いただしてもわからなかったのよ。私も今日カッコをつけて白星師みたいに聞いてみようと思ったら庭への通路を閉め切られちゃって中へ入れないのよ。
都区次:色々な人にまた同じ質問をされても面倒だからでしょ。今日はこれからどうしますか?
江戸璃:寺町の冬の夕焼けはしっとりとしてるわね。湯島あたりの大人の飲み屋で鰭酒を飲みたくなっちゃった。


浄光寺銅製地蔵尊









落ちゆく暾(ひ)石蕗の黄やがて闇の中 長屋璃子
神すでに帰りて谷中灯りをり      山尾かづひろ