2014年4月27日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(173)

山手線・田町(その4)
文:山尾かづひろ 

玉鳳寺









都区次(とくじ):前回は三田台地の慈眼寺でしたが、今日はどこへ案内してくれますか?

坂の名の幽霊坂と夏隣   冠城喜代子

江戸璃(えどり):やはり大矢白星師に案内してもらった三田台地の玉鳳寺(ぎょくほうじ)へ行くわよ。慈眼寺の前の桜田通りの国道1号の南側を歩いて行くわよ。間もなく左への路地は上り坂になっていてね、これが幽霊坂なのよ。坂下に標柱があってね「坂の両側に寺院が並び、ものさびしい坂であるため、この名がついたらしいが、有礼坂との説もある。幽霊坂と呼ばれる坂は東京には多く、七か所ほどもある。」と坂の説明があってね。坂上に玉鳳寺があるのよ。曹洞宗の玉鳳寺は慶長4年(1599)に八丁堀に開創されてね。江戸城の拡張工事に伴って三田が寺町として指定されると寛永12年(1635)にこの地に移転してきたのよ。玉鳳寺の門を入ると左に御化粧延命地蔵尊があってね、玉鳳寺が八丁堀にあったころ中興の住職・宗逸が地蔵橋にあった地蔵を修復して化粧をしたところ住職の顔のあざが消えたことに由来しているそうよ。以来、この話が広く知れ渡り、多くの人が参拝に訪れるようになったそうで、今では東京の隠れたパワースポットになっているそうよ。お地蔵さまにお願いする時は、患っている部分と同じ場所に「オンカーカー カビンサマ エーソワカ」と真言を唱えながら白粉を塗って祈願し、成就した時にはお礼としてお地蔵さまの全身に白粉を塗るそうよ。
都区次:日が暮れてきましたが今日はどこへ行きますか?
江戸璃:今日は少し暑かったわね。慶応仲通りで夜用の大福を買っら、同じ通りのお寿司屋さんで鉄火巻を薄く輪切りにしてもらった「三分」でビールが飲みたくなっちゃった。
都区次:いいですね。行きましょう。

御化粧延命地蔵尊














寺町に大福買へり春の行く    長屋璃子
御地蔵に化粧施す暮の春       山尾かづひろ