2014年7月21日月曜日

尾鷲歳時記(182)

十一年ぶりの朝食 
内山思考 

灯台は青芝のもの海のもの  思考

今日の朝食








今回のタイトルは少しオーバーである。でもある意味正確だ。何故かというと、永年に渡って昼夜二食だった僕が朝の食事を摂るようになったのである。一食減らしたきっかけはまたいずれ語ることにして、この間の例外はたぶん旅行先のホテルなどの朝食だけ。「お父さん、宿泊費のなかに入ってるんやから」という妻の言葉で仕方なく、和食なら軽く一膳、最近多いバイキングなら野菜を少々ぐらいは口にするが、そうすると気のせいか昼食時の空腹感に翳り?が見え、ドミノ倒しで夕食に翌日の食行動にと影響が及ぶ。

一度にたくさん食べたい僕にとって、食前にお腹が空いてないなんて考えられないことなのだ。だから一食に米二合は思考の力、お口汚し程度だったら食べぬ方がまし、ただし他人には強制せずのスタイルを守って来た。例えば外食なら、ご飯の大盛二杯とラーメンをまず前菜に注文、あと二品ほどを追加というのが当たり前だったのである。

ああ、それなのに三食に復帰した理由は、5月の腎移植(僕から恵子への)である。手術後、ドナー(提供者)の献立は早い段階で平常に戻り、僕は8時、正午、6時とキッチリ運ばれてくる病院食を楽しみに待つようになった。ベッドにいると、三食の間隔が短く感じる割に量が少なく(実は標準)、どうも物足りない。しかし、そのお蔭で、この際まとめ食いから足を洗って六十代の体作りを始めよう、という気になったのである。

手術前日の朝食
退院してみると、二週間の病院暮らしで胃袋が縮んだ(戻った)のか、ご飯は一杯で満足できるようになった。ただし丼茶碗であるが。筋トレも再開したし、日常の生活はほぼ以前に戻った。あとは、妻の体内で僕の腎臓が期待通りの働きをしてくれることを祈るばかりである。お陰様で現在の彼女の状況は順調だ。ということで今朝も僕は、オレンジジュースと柚子のジャムをたっぷり塗ったトースト二枚、の朝食をゆっくりと楽しんだところである。