2014年7月6日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(183)

山手線・浜松町(その3)
文:山尾かづひろ 


三解脱門










都区次(とくじ):前回は浜松町の有章院霊廟二天門でしたが、今日はどこへ案内してくれますか?

重厚な築地塀見え梅雨晴間  小熊秀子


江戸璃(えどり): やはり大矢白星師に12年前に案内してもらったコースだけれど増上寺の三解脱門(さんげだつもん)へ行くわよ。二天門から増上寺の重厚な築地塀の方へ向うと三解脱門が見えてくるでしょ。この門は伽藍配置上の中門(ちゅうもん)にあたるもので、略して三門(さんもん)と呼ばれるのよ。山門ではないのよ。慶長16年(1611)徳川家康の助成により、幕府の大工頭・中井大守の配下によって建立されたもので、重要文化財に指定されているのよ。貪欲(どんよく)、愼恚(しんい)、愚痴(ぐち)の三悪を解脱するという意味から「解脱」の名があるそうよ。間口十間余(約19メートル)、奥行五間(約9メートル)、高さ七丈(約21メートル)のニ層建てで、左右に三間(5.4メートル)の山廊があるのよ。また、よく見ると分るのだけれど、上層部分が小さく見えることを考慮して入母屋の張りだし部分を下層より大きくしてあるそうよ。様式の組み物などは唐様が中心で、勾欄などは和様、天竺様が加味されているそうで、楼内には慶長から元和年間にかけて、京仏師によって作られた釈迦三尊像、十六羅漢像などが安置されているのよ。
釈迦三尊像









三門に梅雨明け近き気配あり 長屋璃子 
江戸初期の規模と風格夏燕  山尾かづひろ