2014年10月5日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(196)

谷中(その5)
文:山尾かづひろ 


玉林寺本堂










都区次(とくじ): 前回は谷中の全生庵でしたが、今回はどこですか?

椎の実や父の気質を受け継ぎて 熊谷彰子

江戸璃(えどり): 今回も大矢白星師が8月のお盆休みに谷中を歩いた分のトレースの続きなのよ。というわけで谷中の玉林寺へ行くわよ。玉林寺は言問通り沿いにある曹洞宗の寺で、天正19年(1591)に用山元照和尚により創建された古刹で、本堂裏には都の指定天然記念物である樹齢600年の椎の大木があるのよ。このお寺は千代の富士(九重親方)の菩提寺というつながりがあるとのことで、2011年には、第58代横綱の千代の富士を讃える像が建立されているわよ。千代の富士は、北海道松前郡福島町出身の第58代横綱で、国民栄誉賞も受けている名横綱なのよ。三女が夭逝し、この寺に眠っているそうなのね。境内は近隣の住宅地への抜け道ともなっており、夏祭りなどが開催される憩いの場でもあるのよ。


横綱千代の富士像










椎の実の帰るべき地に寺の庭 長屋璃子
天気図に台風の渦椎大樹   山尾かづひろ