2014年10月19日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(198)

谷中(その7)
文:山尾かづひろ 


瑞松院本堂










都区次(とくじ): 前回は谷中の本寿寺でしたが、今回はどこですか?

走り根に窪にどんぐりかくれんぼ 大森久実

江戸璃(えどり): 今回も大矢白星師が8月のお盆休みに谷中を歩いた分のトレースの続きなのよ。というわけで谷中の瑞松院へ行くわよ。瑞松院は臨済宗妙心寺派の寺院で、開山は僧渓山で、寛文4年(1664)に玉林寺境内に創建したといわれているわね。有名人の墓としては小説家の新田潤(明治37年~昭和53年)が眠っているわね。新田潤は長野県上田市出身で、本名は半田祐一。高見順らと『人民文庫』を創刊、プロレタリア作家として活動。戦後は風俗小説も書いたわね。代表作は『片意地な街』『太陽のある附近』『禁断の果実』『色事師と女』等があるわよ。

瑞松院山門











どんぐりの落ち尽くしてや暮色濃し  長屋璃子
菊芋焼く墓地に迫りし切り岸に    山尾かづひろ