2012年10月28日日曜日

尾鷲歳時記(92)

カフェ・鬼ヶ島
内山思考 

猿酒や野武士となりて走り出す  思考 


句会ノート、三句投句五句選

















毎月第三日曜日は「風来」の句会がある。1月から西宮と生駒をふた月ごとに移動するので10月は西宮だ。尾鷲から行きの5時間は車4時間電車1時間の割合で、いつも運転しながら投句を考えるのが習慣である。三句出来たら後は小旅行を楽しむ。到着は12時、賑やかで有意義な句会といつものメンバーでのティータイムが終わると5時半、宵闇迫る大阪の街を大きく横切って藤井寺の市営駐車場から再び車で尾鷲を目指すことになる。頭の中で色んな思考を弄んでいる内に落語が出て来た。

「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」上方落語の大ネタである。あの世に行った男達が地獄巡りをするという荒唐無稽を絵に描いたような咄しだ。そこでもし、地獄に喫茶店があれば・・・と自分なりに想像してみた。

桂枝雀、桂文我師弟の
地獄八景CD












男A「おい、喫茶店があるやないか。ちょっと休んで行こ」
男B「カフェ・鬼ヶ島やて、なになに、三途の川の水を浄水器に通した地獄の美味しい水使用、て書いてあるで」

中に入るとエプロンをした鬼のマスターが「いらっしゃい」
-中略-
A「えーとキリマンジャロありますか?」
鬼「生憎切らしてましてハリマンジャロならありますが」
A「何ですか、それ?」
鬼「針の山で栽培したコーヒーで舌を刺す酸味が特徴です」
B「ワシはモカ」
鬼「ありません、墓(ハカ)なら外になんぼでも」
B「そんなんいらんがな・・・、それやったらブルーマウンテンは?ブルマン、ブルマン!」
鬼「唾飛ばしなさんな、レドマンにしなはれ」
B「レドマンて?」
鬼「火の山で栽培したレッドマウンテンですわ。かなり熱いですよって舌焼かんようにしてもらわなあきませんけど」
B「ああ、その心配やったら無用や、ここへ着いてすぐ閻魔さんのとこへ引っ張って行かれて、おっきなヤットコで舌抜かれたんやワシ」
鬼「それにしてはアンタ普通に喋ってるやないか」
B「そやろ、もう一枚予備の舌持ってたからな」
鬼「なんや、アンタ二枚舌やったんかいな」
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